日本工学院専門学校教員
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TVFへ関わるきっかけについて
僕らが、8mmフィルムで学生映画を製作した最後の世代じゃないか、と思います。目の前にはフィルムしかなく、それを面白がったのも事実ですが。当時はUマチックがビデオの業務機で、英国の映像作家デレク・ジャーマンが「8mmからUマチックにテレシネ」した作品を製作。フィルムとビデオを横断しながら生み出す色彩の自由さに、驚きながら影響を受けました。その時感じた映像に形などないんだという「自由」さは、今だ大きなキーワードです。
20代後半、手塚眞監督作品「白痴」スタッフとして、新潟市内の巨大オープンセットにいたことがあります。

プロデューサー古澤敏文さんの意図したところですが、「白痴」は新潟県内の多くの人に支えられて製作されました。セットを飾る装飾類の多くが、地域のボランティア経由で持ち込まれたものです。さらにその後、山形国際ドキュメンタリー映画祭に参加。これまた地域の人の理解がなくては進まない作業です。
映画祭開催に尽力した小川紳介監督の著書に「映画を穫る」がありますが、「撮る」ではなく「穫る」。実りをともに作り、ありがたくいただく感覚を、様々な現場を通して知らず知らず身につけていったような気がしています。最近は食育なんて言葉があって、子供たちが野菜を育てたりしていますが、映像も「実り」を得るための土いじりをじっくり行っていく必要性を感じます。土いじりを嫌がらない「映像人」を育てて行く事が、今後の目標と思っています。
TVFも、フェスティバル運営として優秀な作品だけをとりあげるのではなく、議論があり、制作者とのやり取りがあり、広く映像文化の醸造に関わっている。そこに共感しています。新生TVFに惹き付けられ、NPOの立ち上げに関わった事は、必然だったのかもしれません。
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交流会の時は、お声をお掛けして下さいまして、有り難うございました。
「実り」を得るための「土いじり」とは
1. 取材対象の、綿密な、下調べ。
2. 対象が、人の場合、心を開いて貰うための、人間関係の構築。
でしょうか ?
1. で「実り」を得た作品は「アザラシに揺れる村」「うまい野菜を食べよう!」「土俵」「引き裂かれた私たちの歌」「俳句の中の蛙たち」
2. で「実り」を得た作品は「Jack in Harlem」「国労バッジははずせない!」「土俵」だと思いました。
映像の「実り」を得るための「土いじり」とは、上記解釈で宜しいのでしょうか ?
ご教授頂ければ、嬉しく思います。
ですので、曖昧ですが、1.でも2.でもありえる、といった具合です。
陶芸家を取材した際、「窯に入ってしまえば手が出せないんです」と聞いて、驚いたことがあります。
もちろん温度管理や、湿度に対応する術を蓄積はしているのでしょうが、釉薬の溶け方、垂れ落ち方、炎の走る行き先までは作家が手を出せません。
僕が驚いたのは、作家の自然を受け止める姿に対してでした。
機材は日々進化して、一見便利なものとなっていますが、それだけで映像が映し込まれるわけではないのです。
ただ、吉野さんの撮影した「影槍」には、幸運にも、技術だけでは獲がたいなにものかが写し取られていると思っているのです。
勉強させていただきました。
フィルム文化を存続させる会のメンバーの中にお名前を拝見したので
不躾とは存じますがご存じでしたら教えてください。同会員の
映像作家で、映画合同会社の澤井俊明さん宛の通知が返送され連絡が取れずに困っています。
近況をご存じでしたら教えてください。